「お店や会社のホームページを自分でつくる方法」という昨日の記事で、Webデザイナーに発注する場合は注意が必要だと書いたが、今日はそのことについて。
自営業のお店や起業したての会社では、広告代理店や制作会社ではなく、ツテを使って個人で活動しているデザイナーに発注することが多い。
ある程度腕のあるデザイナーであれば、デザイン性に優れたホームページには仕上げてくれるだろう。
もちろん、デザインは大事だ。素人感まるだしのホームページだと、来店しようか迷っているお客さんが「このお店大丈夫かな?」と不安になる可能性がある。アットホームな雰囲気で、お客さんとの距離感が近いカジュアルバーとかだったらそんな手作り感のあるホームページでも愛嬌になるのかもしれないが、通常のお店や会社だとデザインが酷かったり文字の大きさが不自然なホームページはきつい。
ともあれ、デザイナーにつくってもらうことになり、デザインのクオリティは担保できたとする。しかし、お金を払うからといって、制作を丸投げするのはダメだ。丸投げするのではなく、どうすればお客さんが来店したいと思えるホームページになるのか自分で考える必要がある。料理をアピールするのか、空間の居心地の良さをアピールするのか。料理をアピールするにしても、どの料理の写真を大きく載せるのか。スタッフの顔写真を出して親近感を出すのか、出さないのか。デザインや文章のテイストはどうするのか(デザインをかっこよくしすぎない方がいい場合も多い)。考えるべきことはたくさんあり、それらひとつ一つが集客やブランディングにつながる。
デザイナーに発注すれば、プロだからそういったことも含めてしっかり考えてくれると思うかもしれないが、それは違う。デザイナーというのは、デザインが担当であって、Webサイトの企画・構成は考えないか、考えるのが得意でないという人が多い。
なぜかといえば、普段の仕事において、デザイナーが企画・構成を任されることは多くない。例えば、(そこそこの規模以上の)企業がWebサイトを制作するとしたら、広告代理店か制作会社に発注する。すると、受注側はチームを組んで制作にあたる。
・クライアントの要望を聞き、さまざまな進行管理を行なう「営業」
・クライアントの要望を汲みつつ、Webサイトの企画・構成を立案する「ディレクター」や「プランナー」
・その企画・構成にもとづいてデザイン制作を行なう「デザイナー」
というような役割分担になるため、デザイナーはホームページの構成を考える経験&スキルがない場合も多い。家を建てる際の設計士と大工の関係でいえば、デザイナーは大工だ。だから、デザイナー個人にホームページの制作を依頼する場合は、すべてを任せてしまうのではなく、設計図にあたる企画・構成の部分を自分でしっかり考えなくてはいけない。
デザイナー個人に発注することを否定しているわけではない。当然、代理店や制作会社に発注するより料金は安く収まるわけで、個人のお店や小さな会社の予算感にも合うだろう。だけど、お金を払うからといって、丸投げしてしまってはいけないということだ。
「確かにかっこいいけど、このホームページって効果が薄いんじゃないかな」と思うお店のホームページが散見されるので、このような話を書いた。