小学生未満のお子さんの入店をお断りしている理由。

ネマルカフェでは小学生未満の子どもの入店はご遠慮いただいている。本当は、静かにしていてくれるお子さんなら全く問題ないのだが、「静かな子ども」と「騒いでしまう子ども」の線引があいまいなので、年齢で制限をかけている。

小さなお子さまを持つお母さんにしたら、「入店拒否」は当然むかつくようで、先日もお電話いただいたお客さんから、「ベビーカーを置く場所ありますか?」と聞かれたので、「すみません、小学生未満のお客さまはご遠慮いただいているんです」と答えたら、「小さな子どもはダメってことですか?」とちょっとご機嫌を損ねた感じになった。

そんなお母さんたちには申し訳ないと思うが、この方針を変えるつもりはない。

当たり前だが、小さな子どもが嫌いだったり、小さな子どもが騒ぐと自分が嫌だからお断りしているわけではない。

小学生未満のお客さまの入店を断っているのは、他のお客さんの居心地が悪くなるのを避けるため。ネマルカフェにいらっしゃるお客さんの多くは、お昼休みや仕事を終えた後に、ひとりで、または誰かとくつろぎながら食事を楽しみたいと思っている。そして、ネマルカフェはそのように利用していただくことを第一の目的としてつくったお店だ。

だから、その“くつろぐ時間”を極力阻害されないようにしなければ、お店のそもそもの存在意義がゆらいでしまうことになる。

子どものことはみんなで大目に見てやればいいじゃないか、という意見ももっともだと思う。しかし、小さな子ども(騒いでしまう子どもでも)と一緒に食事を楽しめるお店は、ファミレスをはじめとして、江戸川橋や神楽坂にはたくさんある。逆に疲れた大人がのんびりくつろげる空間は少なく、そうした場所を提供するのがネマルカフェの役目だと考えているので、文句を言われるかもしれないが今の方針を変えることはない。

飲食店は、すべての客層を大切にすることは不可能だ。ある層にとって最高の店であろうと思えば、他の層のことは二の次にするしかない。お店をやっていくのなら、そう割り切るしかない。

ちなみに、ターゲットとする層を定め、そこに刺さることだけを考えるのは広告やブランディングのセオリーでもある。すべての人をターゲットにすると、どうしても弱い表現やコンテンツになってしまう(このことはまた別の機会に詳しく書く)。

特定の層だけをターゲットにしても、その層にしか刺さらないわけでもない。若い女性をターゲットにした広告や商品に、中年男性が心をうごかされることもある。最悪なのは、すべての人をターゲットにして弱いものをつくってしまい、誰にとっても“どうでもいい存在”になってしまうこと。

割り切ることが大切だ。