確定申告の時期なので、税金関連本を一気読み

税務署

今年も確定申告の時期がやってきました。高田馬場の芳林堂書店で税金関連本の特設コーナーが出来ていたので、目に付いた新書を4冊程購入。

『給料が増えて会社もうるおうボロ儲け経営術』大村大次郎

『税務署の正体』大村大次郎

『税金の抜け穴』大村大次郎

『税務署は見ている』飯田真弓

よく吟味しないで購入したので、4冊中3冊が同じ著者の本でした。。大村大次郎さんは税務調査官OBです。

 
給料が増えて会社もうるおうボロ儲け経営術 (双葉新書)

タイトルのウサン臭さが半端ないのですが、4冊の中で一番面白かったのがこの本。税務調査官のねじれたマインドについてもよくわかりました。

以下、本書からのメモ。

思った以上に利益を出すことは、企業経営としては避けるべきなのです。自分が想定している以上の税金は、払うべきではありません。といのも、税金というのは費用対効果がまったく認められない支出なんです。
税金は社会のために役立っているから、回り回って自分のためになっていると思われている方もいるかもしれませんが、それは大きな勘違いです。
税金のほとんどは、一部の人間がいいように使っていて、本当に社会のために使われているのはほんの少しです。買い物をしているときに消費税を払っていれば、それで国民としての義務は十分果たしているといっていいでしょう。
それ以上の税金を払うことは“お金の無駄”以外の何者でもありません。
たくさん税金を払うということは、お金をドブに捨てるよりも悪いことです。たくさん税金を払えば、政治家や役人がつけ上がり、ますます、国の仕事がいい加減になるのです。

経営者ならば、いつの時点でも、今、現在どのくらいの利益が出ていて、税金はどのくらいになるのかを把握しておきたいものです。
「利益の額」は、細部まで明確になった「完全な数字」を出す必要はありません。だいたいでいいのです。
「今の時点で、今年は500万円くらいかかっている。だとしたら、税金は150万円くらいかかるなあ。なんとかしなければ」

「どうして、期末に売掛金をこんなに減額しているんですか? なかには、原価割れになっているのもあるし」
社長は、私の顔をじっと見つめておもむろに話しはじめました。
「よく電器店などが決算処分大売り出しなどをしますよね。あれと同じことです。調査官の前で申し訳ありませんが、税金はなるべく払いたくないんですよ。税金を払っても、私は一文の得にもなりませんからね」
「だから、期末に利益が出ていたら、お世話になったお得意さんの掛けを減らしてあげるんです。お得意さんは、それでまた今度も仕事を頼もうという気持ちになります。でも、それをしないで税金を払ってしまったら、あなた方が喜ぶだけです」

人事を管理する上で、まず気をつけなくてはならない点があります。
それは、お金に関しては、人を信用してはいけないということです。
こんなことをいうと、性格の悪い人間のように思われるかもしれません。しかしこれは、元国税調査官としての経験、データからいえることなのです。
税務署の調査をしていると、社員の誰かが横領したという事態に出くわすことが、非常によくありました。大抵の場合は、経営者はそのことにまったく気付いていないし、その社員をすっかり信用しているのです。横領が発覚したとき、経営者は必ず「まさかあいつが」といいます。

小さな会社では、経理を一人の事務員に任せきりというようなことになりがちです。これは絶対に防がなければなりません。これは横領が起こる環境としてもっとも多いパターンなのです。税務調査をしていて、社員が横領をしているのが発覚するのは、十中八九がこのケースです。
経理の仕事などは、やったことがない人にとっては非常にわかりにくくて、面倒なものです。なので、だれか経理ができる人がいれば、その人に全部委ねてしまうものです。しかし、それは絶対に避けるべきです。無理をしてでも、経理をチェックする人をもう一人置くべきです。
常にチェックする必要はないのです。時々、チェックすること、チェックする人間がいるということ、それを経理の事務員にわからせておかなければなりません。
それが最大の予防策なのです。

また取引先や下請け業者、納入業者などビジネス上の立場が弱い人たちと接する社員にも、気をつけなくてはなりません。この業務も、だれかに決裁権を集中させるのはまずいといえます。

しかし、接待交際というのは、何も営業職の人が顧客を接待するときだけのものではありません。「仕事をうまく行かせるための交際」であれば、どんな交際でもいいのです。少しでも仕事に関係のある人、仕事に役立つ情報を持っている人などと飲食することは、立派に接待交際費となるのです。

税務調査の本当の目的というのは、「追徴税を稼ぐこと」です。
税務署の調査官は、追徴税をどれだけ稼ぐかで、仕事が評価されます。だから、必然的に追徴税を取ることが目的とされるのです。

税務署の調査官というと、法律に従って淡々と処理をする人、間違ったことは絶対にいわない人と思っている方もいるでしょう。
でも、決してそうではありません。
税法というのはグレーゾーンが多く、解釈の仕方で税額が変わってくることもあります。納税者がそれを知らないことをいいことに、無理やりいいくるめて税金を取ろうとする調査官もいるのです。そして残念なことに、こういう調査官は実はけっこう多いのです。だから、調査官の指摘でもし納得のいかないことがあれば、納得がいくまで説明を求めましょう。

しかし、税務申告において、不正(税務工作)だけはしてはならない、といえます。これは、社会道義的な面もありますが、なによりリスクが高いからです。先ほども述べましたように、税務署の調査官というのは、不正を発見することが仕事です。つまり、不正の発見については、非常に高度なノウハウを持っているのです。

 

大村大次郎さんの本はもう2冊。

税務署の正体 (光文社新書)
税金の抜け穴 国民のほとんどが知らない納税で「得する話」「損する話」 (角川oneテーマ21)

 

『税務署の正体』のメモ。

税務署の調査官にとって、ノルマは絶対的なものです。
だから、ノルマのために、こんなバカな不祥事を起こしたりするのです。
税務署(国税)の中では、税務調査に行って追徴課税や指摘事項がまったくないことを「申告是認」といいます。つまり「申告是認」というのは、納税者の申告に誤りがまったくないことを示します。これは納税者がきちんと申告していたわけなので、執行行政的に見ればおめでたいことのはずです。
しかし、調査官にとって「申告是認」というのはもっとも忌み嫌われるものなのです。税務調査で申告是認になると、調査官は何も仕事をしていないかのような扱いを受け、上司や先輩から叱責されたり、嫌味を言われたりするのです。申告是認が続いたために、ノイローゼになったり出勤できなくなった調査官もいます。

事業活動においては、帳簿上は儲かっていても実際にはお金が入っていあにようなケースも多く、そんなときに多額の税金を課せられれば、資金繰りに行き詰まって「黒字倒産」などということにもなりかねません。実際には税務調査では、そういうことがしばしばあるのです。
こういうことは、本来、税務行政的には正しくありません。
会社をつぶせば今後、税金を取れなくなります。なので、税務署としても長期的な視点を持てば、無理に追徴税を取るよりも会社がつぶれない程度にしておいたほうが得なわけです。
でも税務署は、決して長期的な視点を持ちません。目先の税金を全力で取りに行きます。なぜかというと、税務署員たちにとっては会社がどうなろうと関係ないからです。
前述したように、税務署員にはノルマを課せられています。自分のノルマをいかに達成するか、実績をいかに上げるかが、彼らの至上命題です。
彼らにとって、会社が将来にわたって税金を納めるよりも、会社が倒産したとしても今現在の追徴課税が欲しいわけです。追徴課税は調査官自身の手柄になります。会社の将来を守ったところで手柄になりません。だから容赦なく税金を取り立てるのです。

 

『税金の抜け穴』のメモ。

政治家の次に税金の抜け穴がある業種は何かといえば、開業医である。
日本では開業医に、超優遇税制が敷かれている。
社会保険診断報酬の72%が経費として認められているのだ。簡単に言えば、開業医は収入のうちの28%だけに課税をしましょう、72%の収入には税金はかけませんよ、ということである。

日本人の多くは、日本の金持ちは世界と比較しても高い税金を払っている、と思っている。しかし、これは大きな間違いである。
むしろ日本の金持ちの税率は、先進国の中では著しく低いのである。
(中略)
日本はこれがわずか7.2%である。主要国の中では断トツに低い。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスはどこも国民所得比で10%以上の負担率である。イギリスに至っては、13.5%で、日本の約倍である。

 

もう一冊、こちらも税務調査官OBの本。

税務署は見ている。 (日経プレミアシリーズ)

この本は正直、調査官時代の思い出話を披露しているだけの感が強く、「調査官は怖いんだぞ」ということを強く言いたいんだなというくらいの印象しか残りませんでした。

 

まとめ

 

今回学んだ点を簡潔にまとめると、以下の3点です。

 

① 税務調査官は「不正を正す」のではなく、自分のノルマのために、追徴税をとりやすい企業(人)からできるだけむしり取る

② 医師会などの金持ちの団体が政治的圧力を持っているため、税制は金持ちに有利な方向にずっと向かっている

③ 税務の知識を蓄えて(不正をせずに)節税をすることが事業(会社)を長く存続させるキモ。気前よく税金を払っていたら、ピンチのときの留保が足りなくなる

 

ちなみに、税務調査で粉飾決算をしているのを発見しても、調査官は何も言わないそうです。粉飾決算とは(本当は出ていない)利益を申告しているわけで、その分税金を取れるので税務署としてはありがたいから見て見ぬふりをするそうです。