今年のカンヌでは、ホンダの「Sound of Honda/Ayrton Sennna 1989」というコンテンツが15の賞を獲得した。
アイルトン・セナが鈴鹿で世界最速ラップを記録したときの走行をエンジン音から解析し、光と音でその走行を再現するという企画。ムービーはこれ。
http://www.youtube.com/watch?v=cKj1RdsG8as
F1のエンジン音がかっこいいBGMになっている。
ホンダのホームページでは、「Sound of Honda」というかつての名車のエンジン音を聴けるマニアックなコンテンツもある。F1とかではなく、普通の乗用車やバイクのエンジン音だ。
「そんなの誰が聴くの?」と思わないだろうか。
僕なんかが聴いても、車種によるエンジン音の違いがよく分からないし、そもそもエンジン音を聴いてなにが楽しいのか分からない。
だが、僕が学生のころ。登山の友人たちとお酒を飲んでいたとき、「面白い小説は?」みたいな話題になり、それなりに話がはずんでいた。しかし、ひとりだけ黙っている男(理系)がいて、誰かが気をきかせて「なにか好きな小説ある?」と話を振ったことがあった。
すると、その理系男子は「小説なんか読んで何が楽しいのか分からない」と元も子もないことを言った。「はぁ? じゃあ、お前は何しているときが楽しいの?」と聞かれたその理系男子の答えは、「車のエンジン音を聴いているとき」。
「こいつ、ちょっと頭おかしいんじゃない?」
とその場にいた人はみんな思っただろう。一瞬、微妙な空気が流れた。
だが、エンジン音に心躍る人はいることは事実だ。
ちなみに、その理系男子は、今はホンダでエンジニアをしている。