『ドキュメント銀行』前田裕之

銀行の歴史がひと通りわかる本。江戸川橋の成文堂で平積みされているの見つけて、「そういえば銀行についてなんも知らないな」と思ってジャケ買いした。


銀行は合併再編を繰り返して3大メガバンク体制になり、最大手の三菱東京UFJ銀行が勝ち組と言われている。「合併を考えたことのない銀行の経営者はいない」と言われるくらい銀行は合併が好きらしい。

銀行はどこも基本的には同じ利益構造で、扱っている商品もどこも似たり寄ったり。他行と差別化するのが難しいため、規模の大きさがそのまま収益力に直結するらしい。

この本では合併再編の歴史が詳しく書かれているが、UFJ銀行が東京三菱銀行と合併するに至った経緯とかは結構面白い。

不良債権処理の問題などから、UFJが東京三菱か三井住友に救済合併してもらうしかなくなったのは2004年。UFJは当初、三井住友に合併してもらいたかったらしい。三井住友の前身である住友銀行とUFJの前身の三和銀行が共に大阪生まれの銀行だからだ。

しかし、UFJの社長が三井住友の社長にアポを取ろうとしたがなかなか取れず、焦っていたUFJは以前から秋波を送ってきていた東京三菱と面会し、すぐに合意に至った。三井住友の社長もUFJと合併したくてしょうがなかったのだが、できるだけ良い条件で合併するために焦らそうとしていたらしい……。UFJと合併すれば最大手になれた三井住友としては、悔やみきれない結果だ。

この本は全471ページとボリュームたっぷりだが、金融の知識がなくてもスムーズに読み進められる。金融の知識も得られるが、“銀行の歴史”に焦点を当てているので歴史好きが読むと楽しめる。歴史好きで、なおかつ金融の知識を得たい人におすすめ。