飲食業界って、脱サラした素人の人がいきなり店を持ったりする。ネマルもその部類に入るとは思うが、そういうことって他の業界では不可能なことだと思う。
例えば、僕の生業である広告業界で、昨日まで経理の仕事をしていたサラリーマンが「デザインやりたくなったから、今日からフリーのデザイナーになるね」と独立しても、仕事なんてまず来ないし、そもそもそんなエキセントリックな決意をする人はまずいない。
格調高いフレンチとかイタリアンなら、どこどこで修行したとか、本場に何年行っていたとか、そういうことも店のブランド価値を向上させるのに役立つが、居酒屋とか定食屋とかカフェとかはまったくそうした前歴などは店の評価に関係なく、ある意味誰もが平等な土俵の上で勝負することになる。
ずっと飲食業界で生きている人からしてみたら、素人がいきなり店を持つなんて「むかつく」ことなんじゃないかと思う。で、素人が脱サラして始めた店はほとんど潰れるというから、そうやって潰れる店を見て「それ見たことか」と思うことだろう。
ネマルはオープンしてから2年と3ヵ月が経った。自分たちとしてそれなりに長い道のりだった気もするけど、ずっと飲食業界で生きてきている人からすれば、たった2年と3ヵ月。少なくとも、あと8年くらいは謙虚な気持ちでやっていかなくてはと思った年末でございます。